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好きな本を好きなだけ。

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サザンオールスターズ原由子に学ぶ。本当に「やりたいこと」は何か?

娘心にブルースを

原 由子

サザンオールスターズの原由子が書いたエッセイ集である。彼女の学生時代からサザンオールスターズ結成秘話、桑田佳祐との出会いとその後の関係、恋人時代から結婚後までの逸話等々、彼女の半生が率直にソフトなタッチで紹介されている。

 

人生の様々な場面が語られているが、一貫しているのは傍らに音楽がある事。音楽を中心に、人生が展開されてる事が素直に表現されている。読んでいてとても気持ちの良くなる一冊である。

好きな事が「ある」人生

人生で「好きな事」を見つけられるのは幸せな事である。「イヤな事があっても、それをしていると忘れられる」「時間を忘れて没頭できる」・・そんな事やモノを見出せる人生はとても素晴らしく、楽しいものである。

 

何より「本当に好きでやっている人」は「それを見ている人」も良い気持ちにさせてくれる。良い「オーラ」が出ているからである。「好きな事をやっている」のだから本人は集中して力が出る。良い「オーラ」は「人を引き付ける」ので、その人の周りには自然と人が集まる・・。

 

原由子はその典型であると思う。彼女は音楽で成功したが、それは「好き」から発したエネルギーが周囲を引き付けた結果であろう。だから読んでいて気持ちが良いのである。

「好きな事がある」を演じる人生

若かりし日に自分にも覚えがある。「好きな事がある」を演じる時期。「自分はこんなにも高尚なモノに興味がある」「自分はこんな魅力的な存在に精通している」等々、自分を高めてくれるモノ、存在に没頭する事を他にアピールする。

 

基本的には「自己主張」である。もっと俗に言えば「カッコ付ける」ために「好きな事がある」を演じるのである。「カッコ付ける」のであるから一応カッコよくなる。

 

でも「本当に好きなのは自分」であって、本当に「好きな事がある」訳ではない。なので大したオーラは出ない。自己主張の強い「イヤなオーラ」が出てしまう事も・・そして、自称「好きな事」も決して長続きしない。

「人と同じがイヤ」な人生

普通に学校を卒業し、普通に就職して余暇を楽しむ人生。これもひとつの生き方である。しかし「普通」を「ありきたり」「退屈」と解釈してしまう事が若かりし日には多い。「私は好きな事がある」「俺は好きな事に一直線!」と思っている方々は特に一歩下がってここを考えてみてほしい。

 

「本当に好き」なのか「ありきたりがイヤ」「人と同じがイヤ」だから作った「好きな事」なのか・・もし、後者であるならば(そうでない事を祈るが)、今取り組んでいる事はすぐにやめた方がいいかも知れない。

好きな事を継続する強さ

「好きな事で生活する」「好きな事で身を立てる」この事は人生のある時期に誰でも考える事であろう。原由子はその選択をして成功した人物である。作品中で直接語られる事は少ないが、彼女自身、様々なツライ経験をしていく中でも音楽を諦める事はしない。

 

好きな事を「趣味」に留めず、職業のレベルまで引き上げるには、やはりある程度の努力と継続が必要である。作品ではサザンオールスターズのデビュー当時のエピソードも取り上げられているが、自分の理想と掛け離れた現実に疑問を感じる様子も記されている。そんな思いを抱きながらも「継続」した事が彼らを最終的な成功に導いたのである。

「やりたい事が見つからない」は本当か?

10代後半から20代くらいの年代で、このような事で悩んだ経験はあるだろうか。「やりたい事が見つからない」「やりたい事がない」は本当だろうか?私には信じられない。

 

「やりたい事」を自ら勝手に「できそうな事」にすり替えてしまっていないだろうか。「やりたい事」はあるけれども「できそうにない」から「やらない」・・。

 

この消去法にハマれば「やりたい事」など絶対に見つからない。この本に書かれているように、まずは素直に「やりたい事は何か?」を考える方法も一つである。