Reader

好きな本を好きなだけ。

Reader

好きな本を好きなだけ。

本当に豊かな生活ができている!?参考にしたいフランス人の暮らし方

フランス人は10着しか服を持たない ~パリで学んだ暮らしの”質”を高める秘訣~

ジェニファー・L・スコット(Jeniffer.L.Scott)

本当に豊かな生活とはどんなものだろうか。


三ツ星レストランで料理を堪能したり、高いブランド品を買い漁ったり、海外旅行に出かけたりする事は楽しい事に違いない。だがそれらは一時的な満足を得られるだけだ。


この本の著者であるジェニファーはアメリカのカリフォルニア州出身。南カリフォルニア大学3年の時パリに留学するが、ホームステイ先がフランスの由緒ある貴族の屋敷だった。

 

そこの女主人マダム・シックとの出会いが、彼女の後の人生に大きな影響を与えたという。本書では著者が留学時代に学んだフランス人の生活様式や、本当に満ち足りた生活を手に入れるためのノウハウを伝授する。

規則正しい時間に食事を摂る事の無意味

幼児期から一日三食きちんと摂るという事を教えられてきた人は、本当に正しい食生活をしていると言えるだろうか。食事の時間は自分の都合で決められているわけではない。

 

大抵は他の人間の都合に合わせて決まっているはずだ。食事と食事の間は4時間から7時間空けるのが理想だというが、いつもそのように出来るとは限らず、日によって変動する場合がある。ほぼ習慣だという理由で毎日同じ時間に食べている人は多いはずだ。食事の時間に空腹の状態でテーブルに着くなら申し分はないが、運悪く空腹でない時にぶつかった場合はどんな食事をしても、満足出来ないはずである。

 

本書の「食事とエクササイズ」の章では空腹状態でテーブルに着く事の大切さを示唆している。間食をする代わりに散歩や読書など趣味を楽しむ時間に変えると充実した時間が過ごせるという事や、体を動かすのを厭わないようにすると食事が美味しくなるという事など、各項目に納得出来る内容が書かれている。


食事は人間の活動に影響を与える重要な要素である。毎日の食事が楽しみに変わると、相乗効果でその他の時間帯も楽しいものになるに違いない。決まった時間に食べる事よりいかにその時間を楽しめるかどうかが重要視されるが、それは個人の労力が問われるところであろう。

物質主義から最小限主義へ

この本の「フランス人は10着しか服を持たない」というタイトルは、著者が一番影響を受けた出来事と関係している。

 

本書の中でマダム・シック一家の全員がクローゼットに10着だけ洋服を入れていないという事実は、大いに興味をそそられる所だ。フランスでは会社の同僚や近所の人達、友人の前で週に2日同じ洋服を着たりするのが当たり前で、他の国のように毎日違う洋服を着たりする事がないという。

 

著者の場合は毎日洋服を取り替えるのを習慣にしていたので、同じ洋服を着まわすのが恥ずかしいという感覚があったらしい。フランスからアメリカに戻っても相変わらずその習慣は変わらず、クローゼットの中は混沌とした状態のままだったが、大学卒業後3つの仕事を兼業する事になったのをきっかけに整理したそうだ。

 

洋服を購入する前に本当に必要な物か考慮すると無駄な買い物をしなくても済むし、そのための時間が不要になる。クローゼットの中がパンパンになっている人は仕事や勉強の能率やモチベーションを下げやすく、毎日の活動に支障が出る傾向がある。

 

その日に着る洋服を選ぶだけでエネルギーを消耗すると仕事を一個終えた気分になって、昼頃にはぐったりしていないだろうか。持っている洋服が多いと選択肢も多いが、少なければそれだけ時間が有効に使える。

 

自分のスタイルが決まっている場合は少ない枚数で着まわす事が可能なので、洋服を選ぶ作業だけで一日のエネルギーを消耗する事はないし、他の人に良い印象を与える事も容易である。

毎日を特別な日にする

祝日や誕生日などの特別な日でなくても食事の時に使う食器を良い物にすると、良い気分で食事をする事が出来るし、普段着る服も外出着にするとセンスが磨かれる。

 

著者が初めてシック夫妻に対面した時はとても良い印象を感じたそうだが、当時の二人の装いがお洒落だった事も関係している。二人が自分に会うために良い服を着たのだと思ったが、後で普段着だという事が分かったそうだ。

 

自分の個性にあった高品質の服を普段着にしていると、外出する時も自然に着られる。これは他の留学生にも確認した事だが、シック夫妻だけでなく他のフランス人家庭でも高品質の服を普段着にしているらしい。

 

著者によると、外見だけでなく中身磨きを怠らないのがフランス人だ。教養を磨くためテレビを見る代わりに読書の習慣をつけ、時には新人監督の映画を鑑賞したり、美術館に行ってアートに触れるなどして刺激を受けている。人とコミュニケーションをとる時は余計な情報を与えず、本当に伝えるべき事柄について話すように努めると、自分の言葉を重要だと思って聞く人が増える。

 

これらの事をすべて実践するのは難しいのかもしれないが、自分を大切にする事につながるので、出来る事から挑戦してみると良い変化が訪れるだろう。

まとめ

この本に興味を持った人に共通しているのは、自分のライフスタイルが確立していない事であろう。仕事をするのは「生活のため」だという人は多いが、普段の生活を自分のために使う事は仕事のモチベーションを上げるのにも役に立つ。

 

著者はフランス留学をきっかけにして本当に満足出来る暮らしを手に入れたが、物欲に負けずに本当に欲しい物だけを買い、食事を楽しんだり、教養を身につけセンスを磨いたりする事が出来るほど豊かな生活はないだろう。

 

数年前から言われているのがライフワークバランスだが、本書には自分で実践出来る指南書として参考になる点が多い。人生を形づくるのは毎日の積み重ねであり、楽しみが多ければそれだけ充実度が増す。著者に倣って自分の身の回りから見直してみると、豊かな人生の新たな幕が上がるだろう。