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好きな本を好きなだけ。

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もう辞めたいと転職を決断する前に知っておきたい人生の指針

こころのウイルス

ドナルド ロフランド

 

本書『こころのウイルス』は、511ページにわたるセルフ・セラピー本だ。

そんな分量を読む時間はないと思うかもしれないし、適量だと思うかもしれない。そこで以下に、忙しい人のための「ここだけでも読んでほしい」という項目をあげる。

忙しい人のための人生の指針

「人生の指針」10ヶ条

1.君は、これからたくさんの授業を受けるところだ。君は、<地球上での生活>という学校に入学した。ここで出会う誰もが、そして起こる物事すべてが、君の先生だ。

 

2.この学校には失敗はありえない。あるのは学ぶことだけだ。「失敗は成功にいたるための一過程でしかない」

 

3.君が学び終えるまで、それぞれの授業は終わらない。君がひとつのことを学ぶまで、授業はさまざまな形をとって、何度でも繰り返されるだろう。君がここにいるということは、まだ学ぶべきことが残っているということだ。

 

4.君が簡単な授業から学ぶべきことを学ばなければ、授業はどんどん厳しくなっていくだろう。
君の味わう苦痛は、宇宙が君の関心を惹くための手段なのだ。

 

5.君が授業から何かを学んだら、君の行動の仕方も変わるはずだ。行動は、知識を知恵に変える唯一の方法だ。

 

6.「ここ」より「あそこ」のほうがいい場所だ、とういことはない。「あそこ」が「ここ」になったときには、また別の「あそこ」が現れて、それが「ここ」よりいい場所に見えるだけだ。

 

7.この学校には善悪の区別は存在しない。あるのは原因と結果だけだ。宇宙は私たちを裁かない。君にバランスをとり、学ぶ機会を与えてくれるだけだ。

 

8.君の人生は君しだいだ。人生はキャンバスだ。そこに絵を描くのは君自身だ。

 

9.答えは君のこころのなかにある。君がすべきことは、ただ見て、聞き、信じることだけだ。

 

10.君は、以上のことをすべて忘れがちだ。

 

これは著者のドナルド・ロフランドが自身のオフィスに掲げているという「人生の指針」だ。これらの項目のどれにもピンとこなければ、今は本書を開くタイミングではないのかもしれない。

 

あるいは、どれかのキーワードが引き金となり、過去の何かしらの経験が思い出されてきたならば、ぜひ著者のメッセージに耳を傾けてみることをおすすめする。

 

NLP(神経言語プログラミング)の隠れた名著

実は本書、NLP(神経言語プログラミング)をベースに書かれた、知る人ぞ知る隠れた名著なのだ。NLPとは1970年代にジョン・グリンダーとリチャード・バンドラーによって提唱された、効果的かつ即効性のあるカウンセリング技術のことである。

 

著者のドナルド・ロフランドは、そのNLP共同開発者であるロバート・ディルツを指導担当としていた物理学教授だ。本書では、自分の考え方に取り付いてしまったマイナスの思考パターンのことを「こころのウイルス」と呼ぶ。どんな種類のウイルスが原因になっているかを明らかにし、そのはたらきや治療法が具体的なテクニックとあわせて数多く紹介されている。

 

ここで「こころのウイルス」を退治し、治癒した例をいくつかあげてみよう。

煙草やアルコールをやめる。クモ嫌いを克服する。うつや花粉症から解放される。先延ばしグセや恋愛問題が解決されるなどなど。これらはすべて「こころのウイルス」が原因なのだが、著者が行うワークショップの中での実際の事例なのだから驚きだ。そしてさらに、本書を手に取った読者の誰もができる手軽な方法(40の自己診断と21の治療法)が満載なのだからお得と言えるだろう。

 


下園壮太氏の『心の疲れをとる技術』(朝日新書)が処方箋ならば、この本は読者のこころ専属のセラピストだ。まずは一人になれる時間を確保しよう。そして本書をそばに置き、紙とペンを用意したら、40の自己診断の中から「今、最も解決したい項目」を選んでみよう。

 

そして21の治療法の中から適した方法に取り組んでみてほしい。著者とマンツーマンのカウンセリングを受けているような感覚とともに、そのセラピーの効果を十分に得られるはずだ。