武器としての決断思考
瀧本 哲史
人生は決断力で決まると言っても過言ではありません。朝起きてから夜寝るまでに多くの選択をしている私たち。
小さなことでくよくよ悩んだり大きなことを先延ばしにすることが多いはずです。 本書はディベート思考法を通じて決断力という武器を与えてくれる。
目標は完璧な答えではない
ディベートで論議を交わす場合、最終的に完璧な答えを導き出すことを考えがちだが、その議題は正解がない問題についてであることが多い。そのような問題は肯定派と反対派がいる時点で完璧な正解などなく、議論した結果生まれるのは「今の答え」である。
そこをわかっていなければ、何時間経っても同じ議論を繰り返し、時間だけが過ぎて結局何もしないという事態になる。大切なのは完璧な答えではなく、まずは結論を出すこと。たとえその答えが完璧でなかろうとそれは後で軌道修正すれば良いだけのこと。結論は今の「最善」の答えにすることが重要である。
根拠のある意見を持つ
議論する際に必要なのは「なぜそのするべきなのか」「なぜそうしないべきなのか」というような考えを具体的に持つことである。それぞれの立場から考えられるメリット、デメリットを以下の観点から考える。
メリット
- 内因性(何らかの問題があること)
- 重要性(その問題が深刻であること)
- 解決性(問題がその行動によっって解決されること)
デメリット
- 発生過程(論題の行動を取った時に、新たな問題が発生する過程)
- 深刻性(その問題が深刻であること)
- 固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)
メリット、デメリットともに上記の3点を満たすようにして考える。ここがしっかりしていないと、意見に根拠が生まれない。
考えを深める
上記であげたメリット、デメリットについて、今度は反対の立場からツッコミを入れていく。ツッコミを考えるポイントは先ほどの観点毎に前提や考えが間違っていないかを見ること。論理的にツッコミを入れることができれば、意見に根拠がなくなり反対立場の方が俄然強くなり、そうしていくことで自分で考えはより一層深いものになる。
武器としての決断思考
メリットとデメリットにそれぞれツッコミを入れたことにより、根拠の強さがわかったところで、ついに結論を下す。生き残ったメリットとデメリットを比較し決断を下すが、判定の仕方は「質×量×確率」で考える。
「質」はどれくらい重要なものであるかということ。命に関わるものなのか、気分的なものなのかで重要度は全く違う。「量」は量的に見てどの程度のものなのかということ。金額だとすると100円で済むものなのか、10万円で済むものなのかで重要度が変わる。注意しなければならないのは短期的な量だけでなく将来を含めた長期的な量も視野に入れて考えるということ。長期的に考えるときは意見が逆転することもよくある。「確率」はメリット、デメリットが起こる確率はどれくらいであるか。全く起こらないとこなのか、50パーセントで起こることなのか、必ず起こることなのかを考えること。
このようにしてメリット、デメリットの質量確率をそれぞれ考えたらそれぞれを掛け合わせて合計によってどちらが重要であるか判定する。そうすることによって、漠然と考えるよりも確かな決断ができるようになる。
最後の最後は主観で決めること。ディベート思考とは、客観を経て、主観で決断する方法。最初から主観で考えるのではなく、客観的に考えてから最後に主観を持って決める。そうすることによって決められた決断は根拠があるものになり、決断に対する自信も変わってくるはずだ。